キーワード:手作雅香珠,合香珠,文人雅器,7道核心工序,东方香学
午後の風が窓枠を掠め、手首につけた薄褐色の数珠が動きに合わせて軽く揺れ、甘い沈水香の香りがヨモギの草木臭と混じって広がります。これは先週私がオーダーした雅香珠です。市販の香料で作られた香珠とは異なり、雅香珠は天然香料をベースに、伝統的な合香技法で作られており、一つ一つが「身につけられる香方」なのです。今日は雅香珠の7つの核心工程を解説し、この珠串に秘められた東洋の香学についてお話ししましょう。
雅香珠の工芸を語るには、まずそれが合香珠の家族の中でどのような位置を占めているかを理解する必要があります。合香珠は天然香料を粉にし、調和し、形を作って作られる香品で、用途によって「実用珠」(蚊除けや覚醒など)と「雅玩珠」(文人の身につける飾りや机の上の清供など)に分けられます。雅香珠は後者に属します。
その特徴は明確です。香料の配合は「気韻の調和」を重視し(単一の効果ではなく)、形は「珠玉のように丸く潤いがある」ことを追求し(直径は多くが8 – 12mmで、手触りが軽やか)、香りは「静かで躁がしくない」ことを重視します(前調は清らかで、中後調は層次がはっきりしています)。宋代の『香乗』には「文房雅珠は、沈檀を主とし、竜脳や零陵を加え、蜜を混ぜて丸にし、百日間陰干しして、身につけると心を清め、慮を払うことができる」と記載されています。このことから、雅香珠は古から文人雅士の「身近な香境」であったことがわかります。
雅香珠の制作は、「合香技術」と「手作りの形作り」の両方の試練です。私は非遺合香師に3ヶ月間習い、この7つの重要なステップをまとめました。それぞれのステップには、老職人の「こだわり」が込められています。
1. 選材:香料の「君臣佐使」
雅香珠の魂は香料にあります。伝統的な合香では「君臣佐使」が重視されます。君料は主香を決め(割合は50% – 70%)、臣料はそれを補い(20% – 30%)、佐使料は調和や香りを引き立てます(5% – 15%)。
私がオーダーした「清夏雅珠」を例にすると、主香には海南産の沈水香(君)を選び、甘く濃厚な香りがします。臣料にはインド産の老山檀を使い(沈水香の甘さを補い、木質の暖かさを加えます)、佐使料には少量のヨモギ(沈檀の油っぽさを取り除く)と竜脳(香りを引き立て、香りをより通りやすくする)を加えました。
⚠️ 重要なポイント:すべての香料は「生の材料を粉にする」必要があり(蒸煮や浸漬をしていない)、天然の揮発油を残します。粉末は120メッシュの篩を通す必要があり(約0.125mm)、そうしないと揉むときに割れやすくなります。
2. 練り:水と蜜の「黄金比」
香料の粉ができたら、接着剤を加えて形を作れるペーストにする必要があります。雅香珠では多くの場合、蜂蜜 + 清水が使われます(現代では榆皮粉も使われますが、伝統的な雅玩珠では蜜調が好まれます)。
練りの割合は「一料二水三蜜」です。すなわち、1部の香料粉に0.2部の清水を加え(まず粉末を噴霧して湿らせ、蜜が直接固まらないようにします)、さらに0.3部の熟蜜(蜂蜜を弱火で煮て糸を引く状態にし、殺菌して粘性を安定させます)を加えます。
私が初めて練りをしたとき、蜜を多めに入れてしまい、揉んだ香りの塊が手に付着してしまいました。後に先生が言ったのは、「蜜が多いと珠が柔らかく崩れやすく、蜜が少ないと珠が脆く割れやすい。手の温度で感じるしかない。揉んで「手に付着せず、ばらばらにならない」状態になったら完成です」ということでした。
3. 揉み:「三揉三醒」の根気
練った香りのペーストは何度も揉む必要があります。このステップは香料と接着剤を十分に混ぜ合わせ、同時に空気を抜くためです(そうしないと陰干しのときに鼓包ができます)。伝統的な手法は「三揉三醒」です。
- 初揉:一方向に10分間揉み、「滑らかな生地」を作ります。
- 醒料:湿った布で包み、30分間静置します(蜜水が粉末の内部に浸透するようにします)。
- 復揉:さらに15分間揉み、このとき香りの塊はもっと固くなります。
- 再醒:1時間静置します。
- 終揉:「切っても穴がない」状態になるまで揉みます。
このステップは根気が必要です。私は80歳の老職人が揉んでいる姿を見たことがあります。手首を軽く回しながら、生命のある香りの泥をなでるように揉んでいました。後に、「揉むのは香りで、養うのは気です」という意味を理解しました。
4. 形作り:香りの棒から丸い珠への「手作り芸術」
揉んだ香りの塊はまず直径1.2cmの棒にする必要があります(目標の珠の直径より0.2cm大きく、陰干しで収縮するためです)。その後、「分切 + 丸め」の方法で形を作ります。
- 分切:竹片で香りの棒を1.2cmの長さに切ります(それぞれの重さは正確にする必要があり、そうしないと珠の大きさが不均一になります)。
- 丸め:両手の掌に少量の椿油を塗り(付着しないように)、香りの塊を掌の中で円を描くように転がします。力は均一にする必要があります。弱いと珠の形が丸くならず、強いと指紋が付いてしまいます。
老職人によると、良い雅香珠は「三見」が必要です。正面から見ると丸く(角がない)、横から見ると潤いがあり(割れがない)、上から見ると均一(凹凸がない)です。私が初めて丸めた珠は「小さなジャガイモ」のようでしたが、先生は批判せず、「手が慣れると、自然と珠が丸くなります」と言ってくれました。
5. 陰干し:「百日で珠になる」ゆっくりとした作業
形を作った香りの珠は、最も重要な「陰干し期」を経る必要があります。このステップは珠の硬度、香りの残り具合、さらには割れるかどうかを直接決めます。
段階 | 時間 | 環境条件 | 目的 |
---|---|---|---|
初干 | 最初の3日間 | 温度20 – 25℃、湿度60% – 70% | 表面を初步的に硬化させ、崩れないようにする |
中干 | 4 – 15日目 | 温度20 – 22℃、湿度50% – 60% | 内部をゆっくりと脱水させ、割れないようにする |
老熟 | 16 – 100日目 | 密閉した陶壺に入れ、涼しく通風の良い場所に置く | 香りを融合させ、質を安定させる |
私がオーダーした「清夏雅珠」は80日間陰干しました。先生は、「雅香珠は「時間を十分にかける」必要があり、香りが「浮いた」状態から「深い」状態に変わり、身につけると「人を養う」ようになります」と言っていました。
6. 磨き:「三分揉み、七分養い」
陰干した香りの珠の表面には細かい毛羽があり、磨く必要があります。伝統的には「麂皮 + 木粉」が使われます。珠と木薯粉(細かくて香りを傷めない)を麂皮の袋に入れ、口を縛って10分間軽く揉み、その後2時間静置し(木粉が表面の浮きゴミを吸い取るようにします)、最後に柔らかいブラシで掃きます。
このステップは「光沢を出す」ためではなく、珠の表面に「自然なパティナ」を形成させるためです。触ると玉のように温かく、刺さらない感じがします。先生は、「磨きは珠を「目覚めさせる」最後のステップで、その後身につけると、体温が徐々にもっと潤いのある光沢を生み出します」と言っていました。
7. 串づけ:「一糸一紐にこだわり」
最後に、珠を糸でつないで鎖にします。雅香珠では多くの場合、「活扣の糸」が使われ(締め具合を調節しやすい)、糸には「天然の綿麻 + 絹糸」の混紡が選ばれます(汗を吸って臭くならず、香りの珠と摩擦して粉が落ちることもありません)。糸を通すときは1 – 2cmの余裕を持たせ(陰干し後に珠が少し縮む可能性があるため)、結び目には少量の魚膠を使って固定します(緩まないように、化学的な接着剤の臭いもない)。
私のこの「清夏雅珠」には同色の綿麻の糸が使われ、糸の端には小葉紫檀の「平安扣」がつけられています。先生は、「珠をつなぐことは単なる連結ではなく、「香りと器」の呼応であり、全体の珠が「呼吸」できるようにする必要があります」と言っていました。
三、なぜ「雅香珠はオーダーする価値がある」と言うのか?
市販の香りの珠は多くが機械で大量生産されており、香料には「香料 + 木粉」が使われています。香りが刺激的で、色が褪せやすいです。一方、雅香珠の魅力は「手作りの温もり」と「個人オーダー」にあります。
- 香料はオーダー可能:体質(例えば、体が冷えやすい人は肉桂を選び、落ち着きがない人は薄荷を選ぶ)やシーン(通勤時は淡い香り、デート時は甘い香り)に合わせて香りを調整できます。
- 形はオーダー可能:珠の直径(8mmは小さく可愛い、12mmは大きく立派)、色(沈水香は褐色が多く、檀香は黄色が多い)、串づけ方(単圈、多圈)を自由に選ぶことができます。
- 効果はオーダー可能:「香りを嗅ぐ」だけでなく、ヨモギ(蚊除け)、藿香(乗り物酔い防止)、バラ(肝を整える)などを加えて、「健康に良い香りの珠」にすることもできます。
先週、あるお客様が「妊娠期間中の安心珠」をオーダーしました。主香には陳皮(気を整える)と甘松(神経を落ち着かせる)が使われていました。彼女は、「機械で作られた香りの珠には温もりがなく、手作りの雅香珠は心に届くものです」と言っていました。
結語:雅香珠は香りであり、生活の儀式感でもある
香料の粉から潤いのある珠串まで、7つの工程と3ヶ月の待ち時間。雅香珠の魅力は「速さ」ではなく「ゆっくりさ」にあります。これは古人の「香りで生活を豊かにする」文化の継承であり、現代人が「自然と対話する」媒体でもあります。
あなたも「独自の香り」の雅香珠を持ちたい場合は、自分自身に儀式感を与えるために、または親友に特別な贈り物として、私たちにオーダーしてください。私たちは「手作りを工業化しない」「香料はすべて天然」を堅持しており、それぞれの雅香珠には「香方カード」が添付され、あなたの独自の配方が記録されます。畢竟、身につけられる香りこそ、あなたを最も理解している香りなのです。
(注:文中の工芸の説明は合香学の伝統技術と30年間の手作りの実践を基にまとめたものです。)
【原创不易】転載交流は合香学社までご連絡ください